The Astounding She-Monster (1958)　女宇宙怪人ＯＸ

　今回紹介するのはくく、くくく・・・、お、『女宇宙怪人ＯＸ』、カメラマン目指してハリウッドにやってきたのに、カメラマンのユニオンの加入金が1.000ドルで、編集者のユニオンのそれが、250ドルだったもんで、ためらわずに編集への道を歩んだという、経歴からして、ダメ、ダメ、ダメダメ、なロニー・アクロフト監督が一万八千ドルという巨費を投じて4日間で撮影したという58年の作品です。

　冒頭映し出される美しい宇宙、銀河系から太陽系へ、続いて月、普通最後は地球だろうと思いますが、まあいいや、そして登場する隕石めいた物体。このシーンの間中、長ったらしいナレーション、音質が悪くてもごついているのでほとんど聞きとれませんでしたが、なにやら、宇宙は神秘に満ちている、しかし我々の地球は核戦争の危機にあったとかこんなことを言っているらしいです。どうでもいいけど、随分と具体性にかけたナレーションでありますなあ。

　いきなり場面はビバリーヒルズ、キャデラックでお出かけのマーガレット・チャフィー（マリリン・ハーヴェイ）は二人の男、ナット・ヴァーデル（ケニー・ダンカン）、もう一人のほうは良く分からん、によって誘拐されます。例のナレーション、「これは慎重に計画されていた」などと相変わらず具体性にかけており、だんだん腹がたってきます（笑）。誘拐犯たちはマーガレットを車に押し込んで逃走、カリフォルニアだからシェラネバダ山脈だろうと思いますがとにかく山の方に向かったのでした。車の中にはもう一人、バーボンラッパのみして、空き瓶は車外へ放り投げるという豪快なアル中のおばさんがいまして、これでも誘拐犯の一味なんです。

　さてさっきの隕石、シェラネバダ山脈に落下、丁度、犬を連れてフィールドワークしていた地質学者のディック・カーター（ロバート・クラーク）、その爆発音と光に驚きますが、地質学者のくせに特になんにもしないで、自分の小屋へ帰りつきます。いちおう、ここが彼の研究室らしくビーカーや試験管が申しわけ程度においてあります。しつこいようですけど、地質学者だから、帰るなりビンから何かの試薬らしきものを乳鉢にぶち込んで、すりつぶしたりするのですが、その手つきは乱暴そのもの、まるで、インスタントコーヒーにクリープを入れているみたいです。一方、隕石からは何のタメもなく女宇宙怪人ＯＸ（シャリィ・キルパトリック）が登場。こいつ、体から放射線でもだしているのか、画像がゆらゆら歪みます。ＯＸ、ガラガラヘビをエィッと掴むとあら不思議、蛇は死んでしまうのでありました。

　誘拐犯たちの車が偶然にも女宇宙怪人ＯＸ（マルバツではない）と出あい、仰天した手下が運転誤って車を激突させるという非常にいやなファーストコンタクトがありまして、車を失った誘拐犯たちは、ディックの山小屋に押し入って、やい、お前のジープを貸せとせまります。ディック、「俺のジープはライトが壊れている、今夜は月が出てなくて暗いから使えないぞ」一応、これでもＳＦ映画なんですから、はい。

　ナットは手下にジープを修理させようとしますが、故障の具合が酷過ぎて不可能でした。その時、突如窓の外に出現するＯＸ！調べに出ていった手下は逆にＯＸに抱きすくめられジーッと音がするなり死んでしまいます。なんなんだかなあ。帰ってこない手下にいらついたナット、ディックとマーガレットをアル中おばさんにまかせ、探しにいくのでした。そこにまたなんのタメもなく出現する女宇宙怪人ＯＸ、ナットは拳銃を乱射するが効果なし。ＯＸは吼えついてきたディックの犬に必殺ＯＸハグ（今、名前を考えました）、犬、キャンとないて絶命します。女宇宙怪人ＯＸ、そろそろと後ずさりして、闇の中に消えていきますが　実は撮影初日にＯＸスーツが破れてしまったので、背中を見せられなかったという・・・。

　そのころ、ディックはアル中おばさんを酒でつって、騙そうとしていたのですが、慌てふためいてナットが帰ってきたもんで、それもパー。今や4人となったこの奇妙なグループは危険を承知で、ライトの壊れたジープで逃げ出そうとします。うーむ、さっき、ディック、暗いからアブナイといっていたのに、やけにまわり、明るいじゃん。これなら俺だって運転できるぜ。また女宇宙怪人ＯＸが登場、ジープがエンコしてしまい、走って山小屋へ逃げる一同、あ、アル中おばさん、捕まって必殺ＯＸハグだ。あーあ、死んじゃった。

　ディックとナット、ＯＸにガソリンぶっかけて焼き殺そうと考え、ガソリン缶と松明を用意します。そのとたん、窓ガラスをブチ破って踊りこんでくるＯＸ！ゆらぎながらゆっくり迫ってくるＯＸの前でもたもたと松明に火をつけようとするなんともぶざまなディックとナット。しかもガソリンぶっ掛けようという計画を一瞬で忘れ、火のついた松明を振り回しているだけなのには呆れます。プラナリアなみの脳細胞ですな。ナット、ＯＸに崖に追い詰められて、もうだめだと思った瞬間、ヤっと体をかわすと、ＯＸ、アッっと声を上げて崖下に転げ落ちて行く。アハハハ、カッコ悪い、ナニモノやねん、オマエは。

　ナットが死んだものと思い、電話で助けを求めようとしたディックとマーガレットですが、ナット、あいにくぴんぴんしていて逃げ戻ってきます。あっ、お前らなにしてんだと電話を叩き壊すナット、またそこに現われる（笑）、女宇宙怪人ＯＸ、どいつもこいつも同じことばかりやりやがるのです、　この映画は。でついにナットにも必殺ＯＸハグが炸裂、死にます。ついでに、ひょっこり現われたクマにもＯＸハグ、あっさりと殺しちゃってオマエはマス・オーヤマに申し訳ないとか、思わんのか。

ディックとマーガレット、隙を窺ってまた山小屋に戻ります。ディック、ＯＸはラジウムで出来ているから銃弾が効かないんだ、そうだ、酸だ、酸で攻撃すればいいんだ。どうも、このリクツ、私には理解できません。ディックは液体を混ぜ合わせて、いや、この混ぜ合わせ方がまるで水割り作るスナックのお姐さんみたいなのですが、とにかくできた強酸で寝室から忍び込んできた女宇宙怪人ＯＸを攻撃するのでありました。これには堪らず絶命して溶けてしまうＯＸ。このシーン、なんでもスーツがぴっちぴちで屈むこともできなかったので、スタッフはシャーリー・キルパトリックを板の上に寝かせ、みんなで力を合わせてそろそろと横たえたそうで、まことにごくろうさんであります。そんな女は蹴倒してしまえばええのや！私はそう思わずにはいられません。

　安堵の溜息をつく、ディックとマーガレット、マーガレットはふとＯＸのペンダントが残っているのに気づきます。「あら、ヒンジがついてるワ、中を見てみましょう」するとこんな英語（笑）の手紙が入っていました。「地球の皆さん、我々は数世紀に渡って地球を観察してきました。我々宇宙連合の中には現在の地球と同じ問題で苦しんできた星もあり、アドヴァイスできると思います」　実は女宇宙怪人ＯＸは平和の使者だったという見事なサゲでありましたって、ふ、ふざけんナ！

　スタンダード・モノクロ、解像度が低く、太いノイズが入ったりする最低の画質。おまけに暗いシーンで何をやっているかさっぱり分かりません。音質ももごもごするばかりで、聞きとりにくいといったらありゃしない。もうちょっと頑張れ、イメージエンタティメント！紙ケース・海苔弁式フタ。

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